Vol.2 地域のサポートで就農と豊かな暮らしを実現する
夢だった就農に向けて、着実に前に進めるまち
Q.名寄に移住してきたきっかけについて教えてください。
宏幸「僕は25歳の時に、名寄に地域おこし協力隊として移住してきました。祖父がかつて漁業を営んでいましたが、僕は農業がやりたくて。新規就農できる場所を検索したら名寄がヒットしました。なので、「名寄のここがいい!」と思って移住してきたわけじゃないんですよ」
匠子「私は名寄近郊の剣淵町に、彼よりも1年早く地域おこし協力隊として移住してきました。近隣市町村の協力隊同士の交流会で出会って、私の協力隊の任期が終わるタイミングで結婚して、名寄に移住してきました」
Q.就農を目指したのはいつからですか?
宏幸「僕は宮城の大学で学んでいたのは工学系で、就職もなんとなくそちらの方に進むんだろうなと思っていたんです。ですが、在学中に東日本大震災があって、ボランティアをしていた先の農家さんと話をしていて気持ちが変わっていたんです。『40歳から50歳になってから脱サラして、なんて言っていたらできないぞ。やりたいんだったら早いうちから始めたほうが、経験も積めるしいいぞ』と言われて。そこで、卒業してすぐに地域おこし協力隊として名寄に来ました。最初、同じ研修生たちと車に乗って案内してもらったんですが、他の人たちは道路沿いの畑を見て『ジャガイモかな』『かぼちゃだな』とかわかってるんですよ。僕は全然わかんなくて。それくらい無知の状態できました」
Q.名寄での農業研修はいかがでしたか?
宏幸「指導者の寺嶋さんのもとで研修を受けて、本当にたくさんのことを学びました。農業研修ってともすると「労働力」として扱われてしまうこともあるんですが、寺嶋さんは研修後に独立を目指す「研修生」としてきちんと扱ってくれて。1年目は3軒の農家に研修で入るんですがみなさん気持ちのいい人たちで、仕事自体はもちろんですけど、考え方なども含めていろんなことを教えてもらいました。現在は、寺嶋さんの隣の土地が離農で売りに出たのでそこを買って、就農となりました」
仕事、子育て、生活。相談できる人がいる
Q.お二人で農業を営んでいるんですね?
匠子「私は剣淵町での協力隊時代は『絵本のまち』としての町のPRや情報発信をしていました。なので、農業をやることになるなんて思ってもいなかったですね(笑)。でも彼と結婚したときに当然自分も一緒にやるんだと思って、私も1年農業研修を受けました」
宏幸「いま子どもが10か月なんですけど、早い段階で保育園に預けられるのは本当に助かるよね」
匠子「うん。子どもが小さいと家に引きこもりがちになってしまいそうだったので、こうやって仕事ができるのは私にとってもありがたいんです。あと、保育園に通わせることで、育児の相談ができる場所が増えたというのも大きいですね」
宏幸「相談できる人がいるというのは本当にありがたいんです。寺嶋さんもそうですけど、町内会や若手農業者の会に顔を出していると、他の方々からも声をかけてくれるようになります。若手農業者の会は就農前は行きづらかったところもあったんだけど、入ってみるとやっぱりとても大事なつながりで。同世代の農家は一生の付き合いになりますからね。今もこの地域には就農を目指した協力隊がいるんですが、僕から声をかけて就農前から入ってもらうようにしています」
匠子「あと、スケート場の管理でも、新規就農の人と出会ったりしているよね」
宏幸「そうそう。名寄に来てから始めたことの一つで、スケート場の管理があるんですよ。冬季は名寄の街にスケート場がオープンするんですが、その管理を農家がやってるんですよね。僕は昔スピードスケートやってたことがあるんですけど、それを聞いた人が『じゃあ、スケート場やってくれ』って(笑)。それまでは風連地区の農家さんとのつながりが多かったんですが、他の地区の新規就農の先輩たちとも出会って、情報交換したりしています。」
自然の中で働く時間が、楽しくてほっとする
Q.名寄の暮らしはいかがでしょうか?
宏幸「僕たちが住んでいるところは街中から離れていますし、暮らしは若干不便なところもありますが、住み始めてみると、つながりや助け合いもありますし、意外と気にならないものです。今は自分たちのペースで決定して動かしていくという生活スタイルですし、ストレスがないですね」
匠子「私も、とにかく自然の中で生活できるのがうれしくて。実は農作物と向き合っている仕事している時間がほっとする時間なんですよ」
宏幸「え?そうなの?」
匠子「うん。天気のいい日に、青空の下で、こうやって緑の中で収穫したりするのが本当に気持ちいいんだよね。家にいる方が『あれやらなきゃ、これやらなきゃ』と焦ってるかも。名寄に来てから絵本などの読み聞かせサークルに入ったりもしましたが、いまは子育てと農業があるので、絵本は自分で楽しむという方に落ち着いています。でも将来は家庭文庫とか、家の一部屋を図書館にできたらいいなぁ」
宏幸「僕はとにかく就農までステップを踏ませてもらって、やりたいことができているのがありがたいんです。だから、確かに農作業しているときは楽しいよね。二人で目標を決めて、どれだけ出荷できたら旅行に行こうとか、あれを買おうとかやっています。『お、あと何箱出荷したら行けるぞ!』とか(笑)。これから、もっといろんな経験を積んでおいしい農作物を作っていきたいですね」
プロフィール
平澤 宏幸 1988年北海道厚岸町出身。2013年移住。 平澤 匠子 1988年北海道札幌市出身。2016年移住。
子1人と3人暮らし
本人のやる気さえあれば、新規就農へのサポートは本当にしっかりしています。一人でも多く農業を志し、定住してくれる人が増えてくれればいいなと思います。一緒に名寄で頑張りましょう!
ひらさわ農園
- WEB:https://www.facebook.com/hirasawafarm746/