Vol.22 両親から継いだブルーベリー農園で、名寄を再発見
旭川と名寄の二拠点生活。両親の作りあげた農園を引き継いで
両親は2008年頃からブルーベリーを育てていました。当初はお友達が来る程度の規模だったそうですが、次第に若い方も増えてきて、毎年お客さんがブルーベリー農園に来てくれるようになったそうです。
次第に両親だけでブルーベリー農園を続けるのが難しくなり、私もお手伝いに行くようになりました。名寄と旭川の二拠点生活が始まったのは、今から5、6年前の2017年頃ですかね。
そうしているうちに父が病気をして、いっそ農園を売ってしまうか、という話になりました。それまで私は農園を継ぐなんて考えていなかったのですが、お客さんも毎年喜んで来てくれているし、綺麗な農園なので、なんだかもったいなく思えて……。そこで「私、やるよ」と手を挙げたんです。
旭川ではデザイン事務所を立ち上げてデザイナーの仕事をしていて今はリモートでお受けして名寄で仕事する形をとっています。農園でも、POPを作ったり、パンフレットを作ったりといったことにデザイナーの経験を活かしていますね。
好きなことに囲まれると、やりたいことが湧き出てくる
私の生活は、半分おままごとの延長みたいなものです。庭で育てているお花や野菜をとって、道の駅に売りに出して。農園でブルーベリーを摘んで、それで作ったスイーツをお客さんに出して……そんな生活を送っています。
今年はミニトマトを種から育てました。自分の体温で温めながら一晩一緒に寝て、そうして発芽した小さな芽が、今では大きくなって、いっぱい実を付けてくれています。その成長を見ながらお酒が飲めますね(笑) まるでわが子のように「うちの子たち」って言ってFacebookに載せたりするんですよ。
今後やっていきたいのは、ガーデニングですかね。お客さんのいらっしゃる時期に合わせた花でお出迎えをしたい。農園でやっているカフェも、スイーツだけじゃなくて、ランチが出せるようにもしたい。コーヒーも出したりしてね。名寄に来てから陶芸を始めたので、スイーツ用の器も自分で作ろうかな。お花を植える鉢も作れたらいいなあ。
好きなことをやっているから、やりたいことがどんどん出てきます。やりたいこと、まだまだ盛りだくさんです。
大人になったから気づけた、地元・名寄の美しさ
子どもの頃、名寄のことを良いまちだとは特に思っていませんでした。高校生まで名寄に住んでいたんですが、夏休みに家族でどこかに行くときは、紋別やサロマ湖、留萌などの遠方に行っていましたね。まさか、近場に良いところがあるなんて思っていなかったんです。
大人になって、名寄に流れる天塩川を友人と下った時、その景色の素晴らしさに「すごい!」と驚きました。子どものときは、ただ流れているなあ、というだけでしたから。子どものときとは感受性が別物になっているのだとは思いますけど、大人になった今「あぁ、名寄ってこんなに良いところだったんだなあ」と改めて感じています。
しかも名寄って、15分でいろんなところに行けるんですよね。私が住んでいるところは、郊外だけど買い物をするために街にも15分で出られるし、キャンプやカヌー、スキーをするのにも15分。高速も隣町まで通っているから、他のまちにもアクセスしやすい。アウトドアが好きな人には本当にオススメです。
両親の病気や、いろんな悩みもありますが、名寄でしかできないことっていっぱいあるので、ここから離れられないな〜と今では思っています。この土地を残してくれた両親には感謝ですね。
プロフィール
木幡 留美
1967年名寄市生まれ。自身のデザイン事務所がある旭川市と、両親のいる名寄市の二拠点生活を2017年頃から開始。名寄市ではブルーベリー摘みやカフェの利用もできる『ブルーベリー園サンベリーむらおか』の運営を行う。
うちのブルーベリーは粒が大きくて甘いんです。これは父独自の工夫のおかげですね。農園には子どもたちが遊べるような遊具もあって、実は毎年ちょっとずつグレードアップしているんですよ。
サンベリーむらおか
- 名寄市砺波617-1
- Tel:01654-2-5319
- 開園時期:7月中旬~8月末頃
- Webサイト:サンベリーむらおか