移住者インタビューINTERVIEW

Vol.3 国内屈指の釣りフィールドで、夢を実現させていく

60歳を過ぎたら、自然の近くで釣りをする生き方にシフトする

 親父も爺さんも釣り好きで、小さなころから釣りが身近にあったんですよ。台風が来ると、我が家の男連中はみんな地獄網っていうのを持って近所の川に向かってね(笑)。そんな家族に囲まれていたので、当たり前のように釣りの世界に入りました。家はスーパーマーケットを営んでいて、僕も経営に携わっていたんだけど、釣具屋をやりたくて27歳から副業で開店してたんです。当時は珍しかったフライフィッシングの専門店だったんでお客さんもついてきて、30歳の時に家業を辞めて独立しました。22、23歳くらいのころから、釣り雑誌にずっと投稿してたんですけど、ある時フライ・ルアーフィッシングの専門誌に声を掛けられて連載を持つようになりました。そこから『Angling 』『フライフィッシャー』などの釣り雑誌での連載や投稿と、「釣りビジョン」という釣り専門チャンネルで「Fun to FlyFishing」なる番組は11年間やってました。
 名寄に移住してきたのは2014年、それらの連載、番組、経営していた会社もぜーんぶ、人に譲ったり畳んだりして、こっちに来ました。もちろん大決断でしたが、僕は親しい友人を亡くした経験があってね。まだ60歳くらいの友人だったんだけど、その時に、60を過ぎたら生き方をシフトさせて悠々自適に生きていこうって決めてたんです。まあ、悠々自適というよりは忙しくしているけど(笑)

朱鞠内湖、道北の地で出会い、イトウに魅せられる

 2004年に朱鞠内湖から、フライキャスティング講習会をやってほしいと呼ばれたのがこの地域との出会いです。その頃は自分でデザインした釣り具を製造販売する会社も起ち上げて、講習会やTVや雑誌の取材なんかで全国を飛び回っていたんですよ。でも当時は朱鞠内湖にはそんなに興味はなくて釣らなかったくらい。翌年にツアーを組んで訪れたときに「お、これはおもしろいな」と開眼しました。
 イトウは幻の魚と言われるけれど、本当に夢があるんです。朱鞠内湖の漁協の方と話したら「140cmのイトウを網で獲ったことがある」なんて言われたりして。際限なく大きくなる魚だからおもしろい。いろいろと調べていると、イトウは人間よりもはるか昔から日本に住んでいた魚。実は、そのころは淡水よりも海のフライフィッシングが好きで、オーストラリアやニュージーランドを始め、世界の海で釣っていたんだけど「これは外国で釣ってる場合じゃねぇな」と。イトウは他でも釣れる場所があるんですが、狙って釣れるのは道北のこの地域なんですよね。
 そのうち、かあちゃん(パートナーの真美さん)がNPO法人シュマリナイ湖ワールドセンターの理事をやることになって、僕も冬はワカサギ釣りガイドの手伝いなんかして、会社は残しつつも、少しずつ道北の滞在時間が長くなっていきました。

好きなことと、住みやすさを両立させる場所を選んだ

 本格的に移住を考えたときに、机の上に地図を広げて「お、ここがオホーツク海も朱鞠内湖も天塩川も近いな」と指さして決めたんです(笑)。名寄はどのフィールドからも1時間くらい。最高です。指さした現地に出向いて、畑仕事してるばあちゃんに「この辺で土地を売ってくれる人いませんかねぇ」なんて聞いて回ったこともあります。
 で、毎年ワカサギ釣りにくる名寄の若い連中と仲良くなって、彼らに相談したらいろいろと親身になってくれて今の土地を見つけました。マジメな話、病院や買い物などの生活の便を考えると、名寄という選択肢がポンと抜き出ていたんです。現在は僕が釣りガイドをして、かあちゃんが釣り人のためのカフェと宿「Gonta Cafe」「North Flyfishing Lodge」をやっています。おもしろいのは釣り人だけじゃなくて、地域の人が遊びに来たり、飲みに来たりすること。町内会の会長も気にかけてくれてね。良くしてもらっています。

春が来たら釣り人にとっては天国。次の夢に向かって歩む

 今は5~10月くらいまで釣りガイドをやって、11月からは釣り道具を作ってます。この道具作りが結構忙しくてねぇ…。今も20人くらい予約待ちで。一つひとつ手作りで手間がかかるんで、冬はずっとそれを作ってますね。もちろん釣りには週3回くらい行きますよ。冬が厳しいでしょうって言われるけど、といっても3か月くらいですから。4月になって春が来たら、もう、釣り人にとっては天国です。
 釣りガイドで生きていくっていうのは僕の夢だったんだけど、それも叶えられた今、最近は「旅館のオヤジ」になりたいんだよね(笑)。ガイドってさ、ステキな商売だと思ってたんだけど一番いい時期に自分が釣りできないの!だから旅館をメインにして、宿泊客をパッと釣り場に連れていって、あとはご自由にどうぞって。そして自分は一番いい場所で釣りをする…っていうのがいいなぁって。これが僕の次の夢です。

プロフィール

杉坂 隆久

1956年愛知県岡崎市生まれ、2014年移住。パートナーの真美さん、犬のゴン太くん、セキセイインコのぴーたくんとの2人と1匹と1羽暮らし。

夢は思い続けていけば叶います。自分の人生の時間、有効に使っていきたいものです。移住時の課題に「住まい」がありますが、まずは賃貸などで仮の場所で住んでみるのがおすすめ。住み始めるといろんな情報が入ってくるようになりますよ!

Gonta Cafe / North Flyfishing Lodge

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